【プレゼント】




日記や文章にちょいちょい出てくるA氏についての話ですが、「人がガッカリするところを見るのが好き」という性格的にちょっと変わっているというか病んでいる部分がございます。


そのためには苦労をも厭わない性格から、時には少し変わったものを作り出すことがあります。






ある日の出来事でした。


一緒にスーパーマーケットへ寄ると、A氏は一目散でフルーチェとか売ってそうなコーナーに足を向け、棚の中にあるゼラチンをガッサガサと籠に放り込んでいきました。

   


万引きしてないのに万引きGメンですら眉を動かす明らかな不審行動に「なぜ、そんなにゼラチンを買うのか?」と尋ねました。





「プレゼント用です!」





A氏の同僚に、Sさんという男性の方がおりまして、この方の誕生日情報を聞きつけ、好物であるグミを手作りしてやろうと、ゼラチンを大量に買い込み始めたのでした。





あー、いいねぇ。きっと喜ぶよ、Sさん。

そうは言ってみたものの、どう見ても分量がおかしい。
このゼラチン量から推定されるに相当巨大なグミキャンディが・・・まずありえないサイズの「パーティサイズ」グミが完成してしまうはずです。


しかし、そんな巨大なグミを作る人なんて吉田さん(ご無沙汰してます)くらいのもので、恐らくに個数を多めに作り、皆でワイワイ言いながら食べあうのだな、と理解していました。














それから数日後、出来上がったグミがこちら。


















































やった!やってくれた!
怖いくらいに予想を裏切らない女、A氏。




ドス黒い色をした到底食べ物には見えない、ソフトボール大の球体を鷲掴みにして見せるA氏。顎および前歯を破壊するために作られたんじゃないかと疑いたくなるほどにグッドサイズ。




オレの心の中では密かに「デス・ボール」と命名。




グレープ味が主体となっているため、ああいった色合いを醸し出しているのだそうですが、まさに「デス」っぽい色合い。




  










ちなみにこのデスボールは2代目で、初代デスボールはグミ独特の弾力が出せなかったことから開発中止、ダストシュートされた歴史があります。




果たして、デスボールU(ツヴァイ)はその弾力性を獲得できたのでしょうか?


  





















  



































  






































  




































  










































  




床でスーパーボール並みの跳ね返りを見せるデスボールU。
しかし、食べ物を床でついてはいけないし、ましてやそれを人にプレゼントするなんて面白そうなことは人としてどうかと思う、本当に。








しかし、この開発者は出来栄えにご満悦。
2〜3度床で跳ねさせる再調整を図った後に、すぐにリボンを結んで箱詰め出荷作業に取り掛かっていました。







デスボールU 完全版













そして、その翌日。



「Sさん!お誕生日おめでとうございます!」



朝一で唐突にOLなんぞにそんなこと言われた日には、普通なら誰でも顔がほころびます。
Sさんも例外ではなく、ちょっと驚いた顔をした後にほっこりとした笑顔を見せました。



しかしその笑顔も、A氏から差し出されたブラックホールを凝縮したような個体を差し出されたその瞬間から曇り始めたのでした。



「・・・これ・・・って?」


「食物」というカテゴリーには属さないことを願いなら、Sさんは言葉も絶え絶えに聞き返しました。



「グミです!」

即答。逆にこっちには一点の曇りもない。










「ハッハハハ・・・・そうなんだ!ありがとうね!」






そういって引き出しの中にグミを収納しようとしたSさん。
その一挙手一投足をジッと見つめるA氏。

























早くこの場で食ってみせろ、という無常かつ非情な圧力を視線で投げかけます。投げかけ続けます。
























 


圧力に屈し、意を決してデスボールを頬張るSさん。
当然ながら、食べ易さではなく弾力性を重視したハイポテンシャルさが裏目にほとんど噛み切れない。

傍目にはちょっとしたボーリング玉を食ってるようにも見え、他の同僚からの奇異の目線が投げかけられました。



そして結局、食べきるその最後の瞬間まで見届けたA氏。
Sさん、ご愁傷様でした。









あとは、世のため人のためオレのためにも、デス・ボールVの開発に取り掛かられないことだけを切に願うばかりです。




  









おわり












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