横浜チャリティ駅伝



館林駅伝大会の開催5日前に話は戻ります。

試合開始一週間前からお酒をセーブしていたので、時間を余して映画を見ていると、高校時代の陸上友達から電話が入りました。



「何の用だよ!」


友人はバカなので、自分から電話をかけてくるくせに第一声で必ずこのように言ってきます。本当ならそれはオレの台詞だろうと。まぁ、どうでもいいんですけど。


映画がいいとこなんだから用件を短めに述べよ、というと早速本題に入ってきました。



「駅伝に出ないか?」




日程を聞くと、たてばやし駅伝の前日。

会場は横浜。


走行距離はたった4kmとはいえ、移動距離や疲労を考えると、あまり良い条件とは言えんなぁ・・・普通に考えて駅伝連日とか学生時代くらいの体力なしには為し得ませんし・・・確かに友人と一緒に駅伝を走るというのは久しぶりだし、大変魅力的なのですが・・・



うーん・・・と返答を濁すと、友人が間髪入れず撒き餌を放ってきました。




「優勝するとロンドン旅行だってよ!」










!!!!



バブルの時とかならともかく、この不況時にそんな景気のいい景品を出す駅伝大会なんてまず開催されません。

あのヤマダ電機がメインスポンサーになっている大会で入賞してすら賞状を入れるA4サイズのケースしかもらえないこのご時勢にですよ!?ニンテンドーDS・LLくらい寄こせってんだ!





ちょ・・・ちょっと待って!行けるか考えてみるから!!!







何とかいけるわ!!と清清しいくらいに快諾してしまいました。


こうして、30を越えて初の駅伝2連戦にチャレンジすることとなったのでした。




つづく










横浜チャリティ駅伝 その2



この友人はかつて「アイドルコンサートに行ってきた」に出ていた友人でニシダというのですが、今になってなぜ駅伝の話を持ってきたのでしょうか。

アイドルコンサートに行ってきた
■第1回■第2回■第3回■第4回



その理由は、同じ高校陸上部に在籍していた後輩にありました。


この駅伝大会は過去3回開催されているNPO団体が主催になっている比較的新しい大会です。
参加料がほぼそのまま寄付されるという珍しいチャリティ形式なのですが、主催の影響がワールドワイドなことから外資系企業からの協賛とかが多いため、50年続いた歴史ある大会とかが霞むくらいに景品が半端なく豪華!


優勝にはロンド旅行。2位でも国内温泉旅行と何かの福引並み。



で、初回から参加していた後輩ががどうしても腑に落ちない部分というのが、過去3回とも同じチームが優勝し続けていることでした。



つまり、毎年タダでロンドン旅行に行けてしまうわけですよ。

1回目で下見

2回目でロンドン女と恋に落ち

3回目で結婚・帰化 
     晴れてイギリス人に
     息子の名前はビック・ベン

     


といったようなことも可能な話なんですよ。
悪くない!悪くなさ過ぎる!


そこで、ニシダへ届いた依頼がズバリこれ。

「優勝を阻止してください」


実力勝負の世界とはいえ、やはり毎回同じ人が優勝では面白いはずがありません。

現役を退いたとはいえ、大抵の市民大会ならニシダ一人で優勝できるでしょうが、駅伝ともなるとそうも行きません。どんな馬の骨だとて規定人数に達さなければ出場することすら適いませんもんね。


で、オレのようなもんに声がかかったわけですが、優勝しよう!という割にはオレではちょっとパンチが足らんだろうよ?と、ちょっとトーンの下がった話をしますと・・・

「そこは当てがあるから大丈夫」

と、心強い返事。






そして、当日。








なんというメンバーを集めやがるんだ、キサマ!






おおよそ市民駅伝とかで集めるメンバーではありません。
最低でも箱根駅伝走ってないとダメ、みたいな布陣におなかが痛くなりそうです。



明日走る館林駅伝なら監督兼エースとして皆を引っ張る存在なのに、今日は皆の足を引っ張る重しのような存在になりかねません。


荷物持ちみたいな仕事があれば、絶対に山盛り持たされてると思う。




つづく











横浜チャリティ駅伝 その3


一番、オレに近い(タイムが)雑誌編集長が仕事のため、不参加となったため、いよいよを持って足を引っ張りそうな予感から落ち着きなくアップを始めました。


オレは不安になればなるほどみっちりと時間をかけてアップをする傾向にあるのですが、それを見たニシダから「気負いすぎ、アップやり過ぎ」と指摘が入りました。




「そうですよー、ただの市民駅伝じゃないですかー」と、周りの皆もゆったりムード。
ロンドン旅行がかかったドリームレーススタートまであと30分くらいしかないのに。

オレだって優勝狙いとかじゃなけりゃ、ビール片手にアップするくらいの余裕を持って臨みたいよ。






しかし、これだけの面子が揃ってますと、素性も知らないはずなのに自然と視線が集まってくるもんでして、一緒にアップをしていると、応援に来ている人や、スタッフのうら若き女性たちから「細い!」「速そう!」などのでかいヒソヒソ話が聞こえてくるのです。






あぁ、もう!すっごい新鮮!
いつもはブタ岡さんと一緒のジョッグだったりするんで、そんなこと言われたことありませんでしたし。




改めて「太い!!」とか言われたりはしませんが、注目されるようなこともありませんしね。





そうこうするうちにレーススタート。
約200チームがドバァっとスタートを切り、グラウンドを元気よく飛び出していきました。

この駅伝はグラウンドを中心に1周3.7kmの距離を6周(合計22.2km)ということになっています。






この駅伝の変わっているところは、6周を6人で走ろうが、6周を2人で走ろうがてんで問題ないというところです。

当然6人揃っている方が有利でしょうが、激速の2人のみを揃えられるなら、それだけでも優勝は十分に狙えてしまうというところがミソです。




ちなみにウチのチームは6人エントリーなのですが、言いだっしぺの後輩が昔の見る影もなく太ってしまったため、5人で走ることになりました。


 1区 タケイ
 2区 ニシダ(1回目)
 3区 ケイスケ
 4区 サカサイ
 5区 マツムラ
 6区 ニシダ(2回目)


オレはできるだけレースに影響のなさそうな3区。
ニシダはジャンケンで負けたので2回走りです。






つづく









横浜チャリティ駅伝 その4



1区は高校時代の後輩のタケイです。

タケイはバーのマスターを営んでいるのですが、昨晩宴席があったようで徹夜明けでレースに臨んでおり、一番遅く来て、一番早く帰るためにこの一区を希望していました。
この後は結婚式の用意だかの予約が入っているようで、お店にすぐ戻らなければならんのですって。


  


しかし、さすが駒大駅伝部。
普通に1位と10秒差くらいの3位で帰ってきて、そのままの勢いを維持して帰ってしまいました。

タイムはおよそ12’10といったところ。
ちゃんと寝てればどれくらいで走れるんだよ、ちくちょう。






2区はニシダの1回目の走り。

ニシダはほぼノーアップで準備体操とストレッチくらいでスタートしてしまったのですが、そのくせ順位を1位にしてたすきを持ってきました。

こいつはスポーツマジックというところでマラソンのインストラクターをやっているのですが、教え子に「アップなんぞやらんでいい、走ってるうちに温かくなるから」とか教えてるんじゃないか、と思うくらいにアップを疎かにしてました。

しかし、ノーアップでこれだから恐ろしいよ。体が暖まるんならサウナとかでもよさそうだよ、ちくしょう。






3区はいよいよオレの出番。


すでにこの2区を終えた時点で、すでにいくつものチームと1周差がついてしまったため、2位との差がどんなもんかまったくわかりません。


しかし、1位でたすきをもらうレースなんざそうあるもんでもありませんので、スカートがヒラヒラしている女性ランナーの後方に後ろ髪引かれながら、その幸せを噛み締めて走ってまいりました。


     

この日は12月にしちゃ異常なくらいに暖かい日でして、汗だくになりながらも、そのままトップをキープして陸上競技場に帰ってまいりました。


中継地点には他のメンバーが待っていて、「そのままもう1周行け!!」というサインが出ていましたが、、そんな余裕があるはずもなく12’35でリレー。タイム的には1kmが3’20くらいのペース。

他と比べてもそんなにタイムが悪くないので一安心。
あとはヤジを飛ばすだけなので気楽です。やはり駅伝は順番が早い区に限ります。







4区はサカサイくん。

最近、現役を引退したそうですが、エスビー食品陸上部在籍とか普通にありえん経歴です。
サカサイくんは身長が高いため、我々の中でも特に細長い印象が強いせいか、また観客に「細ッ!」という声を挙げられていました。細ッ!

「今はジョグ(ジョギング)くらいしかしてないんですよー」と爽やかに言い放ちながらもサクッと12’25。

汗はすごかったけど、まだ全然楽そう。
「ジーンズがすっごい好き」という話をしていたので、次回はハンデにスキニージーンズで出走してもいいんだと思います。

  







そしてタスキは5区のマツムラくんへ。

彼は電車内での初顔合わせの時に、「えー!?ニシダさんの同級生イケメンばっかじゃないですかー!?」と、非常にこころえていらはる好青年でございました。




いやがうえにも注目度がね?まぁ、上がっちゃうわけですよ。


彼も一流どころの陸上部在籍。
まともに走られたら、レースがぶっ壊されること請け合いです。
例えるなら、小学生の運動会に高校陸上部員がナイフ持参でレースに乱入するくらいの力量差があるでしょう。

しかし、そこは彼も大人です。
周りの空気を読んでか読まずかゆったりゴールで13’10。














もうこの時点で他のチームと何周差ついてんだ!?ってくらいにリードが拡大。
2位との正確なタイム差がわかりませんが、多分相当ついてるはず。

しかし、この大量リードが災いしてか、会場内でポツリポツリと噂が立ち始めました。


「なんか反則級にメンバー集めちゃってるとこがあるみたいよ?」

「そうそう、しかも日本代表みたいな人もいるらしいよ?」

「あの中東系の人が走ってたとこじゃない?」

「外国人まで使ってまで勝ちたいのかね?」




後半は若干幻聴気味でしたが、こんな話がそこいらで聞こえてくるのは、間違いなく首謀者の後輩が影で吹聴しているからに違いありません。


あんまり露骨な勝ち方をすると不評を買いそうな気がしてきたので、急遽太った後輩に責任を取らせてアンカーに起用しようとしましたが、走る準備すらしてきていないからと全力棄権。

後輩の腹の肉を掴むと、健康診断の結果が触診でわかってしまいそうなくらい肉が余っていました。

 





そして、アンカーの優勝請負人にニシダへとタスキが渡りました。





つづく









横浜チャリティ駅伝 その5



1回目はアップがてらに走ったニシダの5区。
こいつが走る以上、優勝は磐石と言えるでしょう。

次は結構真面目に走るわー、と言って飛び出していきました。
目の前に群がる他のランナーとはまったくフォームが違います。こいつに抜かれる他のランナーたちの顔には諦めにも似た表情が浮かびます。


そして、ペースを落とさず、11’20でゴール!!うおー、はえー。


 

ゴール地点にはたくさんの人々が集まり、盛大な拍手とともにニシダがゴールテープを切りました。すげぇ気持ち良さそう!!
あー、こんな余裕で勝てるんならオレがアンカーやっときゃよかった、とクズっぽい考えが浮かぶうえに、優勝の瞬間に「ロンドン!」と叫んでました。すごいな、オレ。



  

終了直後に「優勝おめでとう!」と上記のようなかたに握手を求められました。
こういったコスプレの人が盛り上げ係りでたくさんおりましたよ。




ちなみに上記の人は、鉛筆が2ダースくらいは楽にストックできるほどパワフルな胸毛を装備していたのですが、それはコスプレではなく自前だそうです。






チームは22〜23qをゆったりペースなのに(3区の人は本気でした)、74分くらいでゴールしてしまいまして、2位との差は2q以上となりました。いやー、やっぱり違うわー。一年戦争初期の段階でガンダム投入並みにルール違反な気もしますが、このメンバーなら大抵の市民駅伝なら優勝掻っ攫えると思います。

※館林駅伝では20qを82分かかりました。






さて、ここで優勝の副賞であるロンドン旅行がマジで我等の手元にきちゃうんで、あとは表彰を待つだけなんですが、どうやらロンドンは「ペア一組」分しかもらえんとの情報が耳に入ってきました。


こうなると、誰がそのチケットをゲットするんだ?という血なまぐさい議論が繰り広げられることが予想されましたが、それがそうでもない雰囲気。



「オレ、仕事でそんだけ時間取れないからなぁ」と教え子がいるニシダ。

「自分も時間的に厳しいッス」とサカサイくん。

「うーん、オレも金銭面でもそうだけど時間がなぁ・・・」とマツムラくん。

そして、結果を見ずして帰ったタケイ。こいつには「あー、2位だったわー、ごめーん」とでも言っておけば問題ありません。



「行ける!オレ、行けるよ!」という言葉をグッと飲み込み、あー困ったねぇという表情を繕うオレ。あーもう、ドキドキが止まらない!






順当に行けば、メンバーを集めて2回走ったニシダが一番権利を持っていても良さそうなもんでして、助っ人でミソッかすのオレはちょっとどころではなく手を上げづらいのです。

これは走ってきている以上に、勝負の駆け引きが必要になりそうです。




そして、満を持しての表彰式。

参加者全員をバックに取れる記念写真は勝者の証。
前に座るチアの方々からとても良い匂いがしました。





チームの皆で「良い匂いしたね」とにこやかにベンチに戻ります。
そして、すぐさま副賞の入った袋をバリバリと破って中を確認しますが、どうみても旅行券なんぞ入っている様子も雰囲気もありません。


おかしいおかしいと、続けてゴソゴソしているうちに他の人たちの表彰が終わり、続けざまに司会の方が衝撃の一言。







   






・・・・ち・・?





・・・・・ちゅ・・・?






  


信じられないことに、優勝賞品だと信じて疑わなかったロンドン旅行が、参加チーム全体からの「抽選」となっていました。

恐らく過去3回連続優勝し、すべてロンドンを持っていたチームに対しての不満が別口でも上がっていたのでしょうか?大会本部は英断で今年からすべての参加者に平等にチャンスが与えられえる「抽選方式」を選択していたのでした。



だから、そういうオチはいらねぇんだよ!?と後輩の首を絞めにかかりますが、「僕も知らなかったんですよー」と潔白を表明。


結局、よくわからんチームが、行き先がロンドンではなくグァムに変更されていたものの海外旅行券をゲットされてました。「えー、わたしがー!?」みたいな顔で受け取るそのチームの姿をまともに見られません。








そして気になる優勝商品。

それは、ベンツのマークが印字された箱に入ったベンツ型光学式USBマウス。






い、いらねぇ・・・・。マウスとか別にいらねぇ・・・。
一時期のカーセブンの小倉優子なみに遊べとでも?







まぁしかし、こんなメンバーで駅伝を走れたこと自体が嬉しかったし、楽しかったので良しといたしましょう。


さぁて、じゃぁこれから日光で結婚式に出席して、明日は館林駅伝だ・・・・ゲッソリ・・・・



おわり






追記:

このことをいろんな人に報告すると「そんなことだと思ったよ」とみんな同じこと言ってました。





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