「コソ連」




2009年12月 9日(水)




駅伝大会も間近に迫り、季節とはうらはらに練習に熱が入ります。
今度の大会には10人体制(5人×2チーム)で出場するため、新たな加入メンバーもありました。

その中にある一人の青年がおり、一番加入が遅かったことから「ぽっと出」というニックネームで呼ばれていました。


そんなぽっと出も仕事が忙しく定期練習に顔を出せない日が度々あったので、監督であるオレは練習状況を伺ってみたのでした。


  


「コソ練してます!」

彼の造語なのか「こっそり自主練習」の略のようで、遅れをとるまいと一人で7〜8qは走っているとのことでした。

じゃぁ、どんなコースで走ってるの?と問いかけると、少しうつむき加減に「以前、好きだった人の家の前を必ず通ってます」とストーカーチックな回答。



    

ほら、オレ、こんなにがんばってるぜ!と夜中にトレーニングを積む姿を見せ付けたいそうで、そんな健気な自分に酔うのも嫌いじゃないみたいです。


気持ち悪いな、お前!と素直な感想を述べた後、その好きだった女性との話が気になりました。

その人とはどうなったのよ?と聞くと、「あー、話すと長くなるんですよねぇ・・・」と言いながらもすっごく話したがっている風が見て取れました。

じゃぁ、いいよ!帰ってクソして寝ろ!と言うのも可哀想ですし、走りながら彼の身の上話に耳を傾けたのでした。







始まりは約1年前。

中学生時代の同窓会が催され、その場で一緒になった初恋の人に「昔、好きだったんだ」と告げると「私もぽっと出くんのことが好きだった」と互いに好きあっていたことが発覚。

  


なんだ、そのありそうでオレの記憶には絶対に存在しない設定は。
もうこれ以上文章書かなくてもいいですか?


で、そこからは互いの情念に歯止めが利くはずもなく、すぐに交際をスタートする運びとなりました。「同窓会で昔互いに両思いだった」とかね、もう結婚式のプロフィール紹介なんかにはもってこいのエピソードですよ。キーボード破壊していいですか?

いっそのこと「同窓会で飲みすぎて外で立ちションしてたら、昔好きだった彼女も横でしていた」とかの展開ならもっと面白かろうによ!!






しかし、このぽっと出には放浪癖がありまして、先日も名古屋までヒッチハイクだけで往復するなど結構無茶な旅をするやつなんです。

で、この頃も就職ちょっと前ということで時間があるもんですから、一ヶ月のインド旅行を交際前から計画済みだったようです。


    


付き合い始めの期間にこの行動もどうかとは思いますが、チケットとかも無駄になってしまうもんですから、了承を得て日本を発ちました。




手紙書くから!と元気よく飛び足したぽっと出。

  

インド旅行中、ガンジス川で沐浴中も、町並みに沈む夕陽を見ても、思い浮かべるのは彼女の顔ばかり。

旅行中の勢いも手伝って、それはもう恥ずかしい手紙を毎日のように書いては送っていました。









こうして一ヶ月の旅行期間を終え、帰国すると同時に彼女に電話をするが繋がらない。


彼女の身に何かあったのか?ぽっと出は不安に駆られて、友人に手当たり次第に電話を始めて数本目の会話から、決定的な彼女の行く末を聞くハメとなりました。








     


結婚!しかも医者!

一ヶ月という時間は、彼女には長すぎたのでしょうか?ぽっと出の知らないところで結婚までされていたそうです。あ、正確には婚約ですね。どんだけトントン拍子に話が進んでしまったんでしょうね。


失意のぽっと出。
しかし、彼女は帰ってこない。
勢いにまかせて書いた恥ずかしい文面の手紙も返ってこない。



彼が以来、医者にはかからないと心に誓う気持ちもわからんでもありません。
     



今はとにかく、あの時に書いた恥ずかしい手紙を処分してくれることだけを切に願って練習に励んでいます。

まぁ、気持ちはわからんでもないが、結婚したなら今はその子は家におらんだろうし、気持ち悪いんで普通に練習しなさい、と諭しておきました。







ちなみにA氏にその話をすると、「わたしでもそうしますよ」とにこやかに言っていました。オンナ怖えぇ!







おわり