大理不尽  続編






いろいろと物議を醸してきた「大理不尽」問題を覚えておいででしょうか?

仮に昨年の「怒り心頭ベストオブイヤー」を挙げろと言われれば、限りなくポールポジションに位置する出来事でしたが、あれから時間も経ちうっすらと忘れかけていた頃に、とある先輩が新婚旅行から帰ってきたことから、物語はドラマチックに動き出しました。



結婚式に出ていないオレは、遅ればせながらも先輩のもとへ挨拶へと向かいました。



「ご結婚おめでとうございます。新婚旅行はいかがでしたか?」



ドラマチックのドの字もない、ごくごく当たり障りのない普通の会話が続きます。


「あー、イタリアですかぁ。いいですね、一度は訪れてみたいですよ、オレも。」



人の旅行談を聞くのは嫌いじゃありません。

特に外国の話を聞き、その人なりに文化の違いをどう感じたのか、まだ2回しか海外へ行ったことのないオレにとっては、どれも非常に新鮮に感じるものがありました。

いいなぁ…ディモールト行きてぇよ・・・


先輩の見せてくれた絵はがきを見て、大好きな遺跡だらけのローマへと思い馳せたのも、わずか数秒。吸い込まれるように先輩の手元から目線が動かせなくなりました。





いやまさか…こんなところにあんなものがあるわけない。オレは目を疑いました。


イソジン並みのサイズ。
くすんだ白色のボディ。
あまいデティール。
はみ出したカラーリング。
そしてあの傾き加減。


それは見間違えるはずもなく、以前にオミヤゲでいただいたピサの斜塔でした。






先輩もピサの斜塔見物に出向いていたらしく、近くの土産屋で購入をしてきたそうです。ブランド品に化けて数ヶ月、まさかこんなところで、またコイツと出会うことになるとは。



そして、どうしても気になるのは「斜塔のお値段」です。本人が買ってきたという以上、おおよそのお値段は覚えていることでしょう。


人が買ってきた土産の値段を調べるだなんて、オレは何て最低の妖怪人間なんだ!と普段なら自分を責めるところですが、今回に限っては適用いたしません。オレにはその事実を知る権利があるはずです。





昨年のことですが、ちょうど夫妻と行き会った際に苦情を言われたことがきっかけです。

サイトでの内容について友人づてに聞き及んだようで、オミヤゲを物々交換したことに対して新郎が口を開きました。



「おい、人が買ってきた土産を何で他の人にくれちゃうんだよ!高かったんだぞ!」



うん、それは正論。確かに人として間違ってます。

でも、できるなら自分であの長文を読んでから、文句を言いに来てくれ。そのうえでまだ文句が言えるならいくらでも聞きましょう。まぁ、読んでないから文句が言えるのでしょうが。



「そうだよ!」と面白くなさげに新婦が続けます。


いやいや、以前にオレに「ごめんね、旦那が『いらないものを買っていこう』って言い出すから」という話をしたのを忘れたのか?



「だったかもしれないけど・・・高かったんだからね!」と続けます。


じゃぁどんだけ高かったのよ、と聞き返すと言葉を濁すのです。あぁ、なんて不毛な口論なんだ。








それから数ヶ月。

きっと値段を聞いても不愉快な気分になるだけに違いないのですが、ここまで来て引き下がるわけにはいきません。



「あの・・・不躾な質問だとは思うんですけど・・・それっていくらでした?」



おずおずとその値段を聞くと、先輩は斜塔の裏側を見ました。
しかし裏面に値段表記はありません。

当時の旅行を思いだすかのように、中空を軽く見渡し先輩はさらっと言いました。




「んー・・・たぶん2ユーロ。」


    ※【 1ユーロ=160円くらい 】



320円!高くても500円程度に考えていましたが、やはりそんなくらいだったか!
高い、高いと言ってた割には・・・予想の範疇とは言え、やはり動揺を隠せません。



「…2ユーロ…2ユーロ…ですか…」と呟くオレの気持ちを知ってか知らずか先輩は続けます。

「正規っぽい店で買ったからその値段だけど、露天で売ってたのはもっと安かったと思うよ。」

もういいから!これ以上追い打ちをかけないで!




年が明けてまだ日も浅いですが、この出来事が「怒り心頭ベストオブイヤー2008」にならないことを祈ります。





おわり