『自転車旅行記〜湯煙編』




2008年11月14日(金)の詩咽


今週末、職場の人たちと県内の温泉旅館へ旅行に行くことになっていまして、やはりこの時期ですから紅葉などを愛でながら一杯という趣向で計画されているようです。いま、群馬は紅葉が最高潮ですからね。これで温泉に温泉卵があればいうことはありません。あと酒ください。


で、そこまでの移動なんですが今回はバスなどは使用しないで、各自もしくは乗り合わせの現地集合となっていました。まぁ住んでる地域もバラバラですし、そこはしょうがないですよね。


で、先日、配車表っていうんですか?誰がどの車に同乗するといったような表が配られました。
マメな幹事役の方が他のみなさんの都合を聞きつつ作ってくれたようです。


しかし、オレの名前が全然書いてない。そもそも予定とか聞かれた覚えもない。

一抹の不安を覚えながら下表へ視線へ移すと、一番下の欄におかしなことが書いてある。






「自転車:ケイスケ」」

おかしい!
オレだけ車種違う!!エンジンついてない!


冗談抜きで片道70〜80キロあるんですが、自転車で行くことになってました。







今週末、紅葉を肌で感じてきます。











2008年11月16日(日)の詩咽



自転車旅行記@

先日、日記に書いたように、遠くはなれた温泉地へ大多数が車で向かうのに対し、自転車で現地へ赴くという、気でも違ったのかしらといった企画がぶち立てられました。

疲れを癒しにいくであろう温泉地ですから、その前に体を目一杯疲れさせてやろうという行為自体はわからないでもありません。銭湯に行く前に目一杯汚れてやろうという行為や、美容室行く前に目一杯髪伸ばしてやろうとか、そういった心持ちに通ずるものがありますよね。

それと付け加えさせていただくと、今回のこの企画は自転車好きの幹事考案であり、それに付き合うことのなった若い衆があと2人ほどおりまして、合計4人で向かいます。
いやぁ一人とかだったら絶対に心が折れてますよ!他の若い2人がへたばってくれれば、「ハハハ、若いのにだらしないなぁ!」といった心の余裕が生まれ、精神衛生上大変よろしいかと思うのです。


でも、集合地点までまず10キロ近く漕がないといけないってどういうことだ!

     


ここまでの道程で貴重なTシャツが汗で死にました。




Aへつづく













2008年11月17日(月)の詩咽

自転車旅行記A

 

まだ全然、山の方に来ていない段階で負傷です。
しかも、後輩のうち一人この近辺で合流することになっていたため、その待ち時間で準備体操をしている瞬間に抜けました。もうこんな肩イヤ!

肩が外れた瞬間にその痛みを波紋で中和できれば良いのですが、残念ながらその術をオレは知りません。


      

肩が抜けた現場付近の写真です。

















2008年11月18日(火)の詩咽

自転車旅行記B


 

無事に肩もはまり、湯治に行く理由が一つ増えたところで再出発となりました。

目的地の温泉地は完全な山間部のため、このあたりからはほぼすべて登り坂しかありません。先導の幹事さんに残りの距離を伺うと、ここからあと50kmくらいだよ!って爽やかに教えてくれました。お医者さんにあいさつがてらに大病の宣告をされたかのような感覚に陥りました。

しかし、ここまでまったく練習をしてこなかったわけではありませんので、多少の距離には耐えられるという自負がありました。数ヶ月前には片道だけではありますが、雑誌企画でディズニーまでいっています。それに比べれば50kmくらいねぇ・・・というのは完全な誤りでこの登り坂はまじ半端なかったです。


わざときつい坂のあるコースをセレクトしてませんか?といったような殺人坂が延々と続き、しかも、先導の幹事さんのブレーキが壊れてるのか、それとも自転車にエンジンでもついているのか、オレらをぶっちぎって先に進んでしまうのです。


離れてしまうと道がわからなくなってしまうもんですから、必死に追いすがろうと自転車を漕ぐうちにナチュラルに体力の限界突破をしてしまい、時速8kmくらいしか出せなくなっておりました。それってあと何時間かかる計算の?それで計算するとアパートまで徒歩何分なの?この線路はどこまで続くの?


疲れで思考と記憶がグチャグチャになり、きっと紅葉がきれいであったろうにアスファルトの黒さしか覚えておりません。























2008年11月20日(木)の詩咽

自転車旅行記C


「とりあえず休憩地点までがんばれば紅葉が見られる!」

置いていかれそうになりながらも、先導に何とか喰らいつけたのはそういった想いがあったからでした。


「よーし、じゃぁそろそろ休憩するよー」

先導の幹事さんがつとめて爽やかに、後方でゾンビみたいな顔をしてついてくるオレらに呼びかけました。
出発からすでに40キロほど進んだところで2回目の休憩です。


やっと休める!!紅葉が見られる!穴が開くほど見つめてやるぜ!
かつて地上最強の男、範馬勇次郎が見つめるだけでバラを枯らすという荒業をやってのけていましたが、ここは山々の葉が全部落ちてしまうくらいに見つめる勢いでいきたいと思います。

申し訳ありませんが、観光客のみなさんは来シーズンにまたお越しくださいませ!めんそーれ、群馬!



と、まいりたいところでしたが、我々の休憩場所は紅葉なんて一切見ることのできない場所に立地されたコチラ。




イエーーー!!!コンビーーーニーーー!!


紅葉をじっくり辱める勢いで凝視するのは後でもできますが、コンビニを逃すと次にいつ出会えるかわかりません。まずはここで手堅く栄養補給をするのが得策である、と先導の幹事さんはいいました。

自転車を漕いでいる間は、どんどん体力を消耗していきます。そして、そのペースが速ければ速いほど腹も減ります。

なので、「腹が減ったなぁ・・・」と思感じる前にまず栄養補給。これで新たにカロリーを摂取しないことには「ノックハンガー」と言われる症状に陥ってしまうのです。

わかりやすく言いますと、ケロッグコーンフロストのCMで「トニー・・・お腹が減って力がでないんだ・・・」というややもすると児童虐待の影を匂わせる少年の呟きや、ドラゴンボールの悟空が「オラ、腹へって力(リキ)がでねぇぞ・・・」と同義となります。


そのためにも、このコンビニで栄養補給をすることがこれから予想される激坂へのほとんど唯一の対処法となるのです。









とりあえず、エロ本コーナーで栄養補給。





これで本当に栄養的なものが補給できるかどうかは、個人の持ち合わせたスキルによるところが大きいわけですが、あまり深く追求しないでください。





さて、こちらが実際に買ったものでございます。

・肉まん
・ウィダーのゼリー(マルチビタミン)
・赤飯(大好き!)
・とろりんシュー
・ソフトキャンディー


まともに食っていたらブクブク太って、順調にいけば1年後には「サモハンキンポー」とか「豚のケツ」とか呼ばれることが決定付けられることでしょう。

しかし、今は人力での長距離移動中。
とにかく体を動かすためにはカロリーと糖分、この二つの摂取は必要不可欠なのです。






        


ですので、こういう人は一生懸命自転車を漕げばいいと思う。


















2008年11月21日(金)の詩咽

自転車旅行記D


途中、自転車の速度を落として撮った一枚。



全然前が待ってくれないため、せっかくの紅葉もフェンスは入るわ、指は入るわで台無しです。心なしか風景がにごって見えるのは、オレの心をフィルターとして通してしまっているからなのでしょうか?


温泉地が山ん中にあるんだから、登っていかなければならないのは仕方ないのですが、全然ゴールが見えてきません。正直、先導の幹事の方が非常に地理に精通していることもあり、油断しまくって全然地図を見てきませんでした。

そのせいもあって、目的地まであと何キロあるのか?とか道すがらプレイスポットはあるのか?とかよく考えたら目的地の旅館の名前がわからないとか不安要素満載で臨んでました。

いつまでも続く登り道。
逆に怖くてあと何キロくらいあるのか聞けません。





頭の中は酸素が足りないのか、疲れでギアチェンジがおぼつかなくなっていました。坂道でギアを軽くしたい瞬間に間違えて重くしてしまったときのあの絶望感。自分で自分を絞め殺してやりたくなります。


それでも途中で足をつかない、ということだけを自分ルールにしてふんばりました。




そして、目的地まで残り15キロくらいというところで休憩が入りました。




群馬コンビニ巡りか!?というくらいに紅葉の写真よりもセブンイレブンの写真が多いです。

そして、普段であればブラックしか飲まないコーヒーも今日はさすがに微糖。糖分の摂取は怠りません。


もうあとは気力のみ。
15キロくらいならどうにかなりそうです、糖分も入ったし。


「ここまでくれば、そんなにきっつい登りはないよ」

先導の幹事さんが希望の光を灯してくれたものの、ところどころに難所多数でした。

この人の感覚は常人のそれとは違い、「10キロ=近い」、「ずり落ちるくらいの坂=ちょっときつい坂」、「遅い=時速30キロ」、「速い=車の速度」、「猫=かわいい」、「犬=飼いたい」と、少々私見も混じっていますが、かなりずれているものだということを身にしみて理解させていただきました。



特にそれを強く感じたのはゴール後に、走り足りないのであと20キロ上ろうよ!と誘ってきたことです。



    





つづく















2008年11月22日(土)の詩咽


自転車旅行記E


到着してから数分後。



















2008年11月24日(月)の詩咽

自転車旅行記F




全力で温泉エキスを吸収。

宿の人も「え!?あぁ、自転車で来られたんですか!?」と驚きながらも半笑い。

しかし、ここまでの道のりを考えると当然ほぼ登りにもかかわらず、平均時速を見ると普段平地部でのペースと全然変わりませんでした。そのため、宿にも予定より1時間くらい早くついてしまったため、チェックインできずにロビーで呆けておりました。

その時間が勿体無いということで、その場で売店で買ったビールで酒盛りを始めると、さすがに迷惑だったのか時間より早いのに先に部屋に通してもらえました。




そんなこんなで、宴会前に温泉街に似つかわしくない漫画喫茶を発見して入るかどうか悩んだ一日目も無事終了し、翌日になりました。

温泉効果があったのか、それとも元々オレの足が強靭だったのか、あれだけのトレーニングだったのに不思議と筋肉痛もなく、帰りの道のりでも体調は万全です。

朝の冷たい空気を顔に感じながら、川のへりを散歩しつつ、「よし、今日は何とかもちそうだな。」と足の動きを確認してみたりしました。


      



とはいえ、調子に乗りついでに先導の幹事さんの誘いに乗ることもなく、無事下山してまいりました。


    

     「いい坂があるんだけど、そっち経由して帰らない?」





その日も帰って泥のように眠りましたが、また、折を見て自転車旅行記を書きたいと思えるくらいには楽しんでまいりました。

先導の幹事さんには本当いろいろとお世話になりました。ありがとうございました!