キャンパスライフ 第5話 


前回までのあらすじ

…蛙の頭から出る白い液を乾かして吸うとハイになれるそうです。





さらに時は経ちます。

季節は夏真っ盛り。カービーはその野生児ぶりにさらに磨きをかけ、野山を縦横無尽に駆けめぐっていました。

この時期の山は食料で溢れています。
カービー曰く、山によって捕れる食料が違うそうで、欲しいおかずによって出かける方角を変更するとのことです。ここまで来ると完全にハンターです。おかずハンターです。


この頃になると、川魚の捕らえ方も獣じみておりまして、釣り竿とか網とかそういった道具は一切使わなくなっていました。では一体どうやって川魚を捕らえていたのか?






ザ・素手。




北海道の熊が鮭を捕るかのようなアクションで川魚を陸にぶん投げるカービー。もうそこには人間の面影はありません。今ならもれなく、幻のUMA(未確認生物)として藤岡弘が捕獲に来てくれるはずです。



リアルな話、銛とかは使わなかったの?と聞くと「その手があったか!」という顔をされました。石器時代前の原始人かよ。



ここで、カービー流お魚捕獲法を皆さんにお教えしましょう。



@魚を発見する(視力は2.5以上が理想です)



A素早く素手で掴みかかる(あくまで徒手空拳で、お魚とは対等に)



Bエラまたは口に指を引っかけ、潰れろと言わんばかりに握りしめます。(この時、魚に同情は禁物です)



C河原へ放り投げます(魚は陸では無力です)








まったくもって参考にならんです。





しかも手慣れてくると焼きもせずに生で食ってたというから驚きです。いや日本人ですから生で食うこと自体には抵抗はないのですが、カービーの場合、丸かじりですからねぇ・・・
しかし、この行為の良いところは、それが逆にビタミンを取る上では好都合ということです。焼いてしまうとそれらは壊れてしまいますからね。昔の遭難者などはそのビタミンが摂取できなかったことから死んでいった人もいたそうです。


我々も文明から離れ、しばらくこういった生活を送り、セブンセンシズに目覚めれば可能になるのでしょうか。でも、丸かじりはちょっとなぁ。





そんな生活が続くある暑い日。


ガロロロロロロ・・・・


また遠方から車の音が聞こえます。しかし、今回は事情が違い、車が2台でやってきました。シゲタくんの車でも、あの無責任講師のバイクでもありません。



降りてきたのは立派なスーツを着込んだ紳士と、恐らく学校の講師と思われる男性でした。二人は何かを小声で話し合うと、カービーのもとへ歩み寄ってきました。キッチリとした着こなしの紳士に対し、今のカービーは未来少年コナンそのもの。いざ並ばれるとその風貌の差は対照的と言ってもよいほどに差がありました。




ここのところ、嗅いだことのない文明の匂いにカービーの心は高鳴りました。



「・・・君がカービー君だね?」



紳士は自分が何者か、そして何故ここに来たのかを手短に話し始めました。


紳士の正体は文部省の職員でした。
どうやら、この学校で行われているワークショップなるサバイバルの噂を聞きつけ、実態調査に来たようなのです。そして、文部省の出した答えは「人道上、衛生上このままではいけない」ということでした。


どこまで自分の状況が伝わっているか不安はありますが、入学式から向こう3ヶ月、勉強など一切せずご飯の心配だけをしてきました。ようやくこの状況から脱出できるのです。カービーは嬉しくて堪りませんでした。


例え、【一週間だけ授業を受けるために帰る】という限定条件つきでも。



その日のうちに荷物をまとめ、カービーは下山をしました。

三ヶ月ぶりに見るものはすべて新鮮でした。特に中でも一番感動したのは【ゴミ】でした。ゴミというものは人間が出すものです。動物や木はゴミを出しません。そして、それはそのまま人間の痕跡となるのです。

カービーは最寄りの駅で降ろしてもらった瞬間、足下に転がるコーラの空き缶を見た瞬間、感極まって泣き崩れてしまったそうです。どんだけ感受性豊かなのよ。


        


その後も人とすれ違っては、涙したそうです。この状態で人混みの中に入った日には気が狂うんじゃなかろうか。


そして、カービーがこの時一番強く思ったことは「心おきなく助けが呼べる!」ということでした。我々は、いろんなものに囲まれ、そして支えられ生きていきます。体調が悪ければお医者さんにかかれますし、不安なことがあれば友人に相談することもできます。

しかし、この3ヶ月のカービーは体調を崩しても、どれだけひもじい思いをしても、誰にも助けを呼ぶことはできませんでした。




ある時、ノザキさんがこう言ってあるモノを渡してくれたことがありました。


「カービーくん、この山は熊が出るから、いざと言う時はこれで助けを呼ぶんだよ!」




そう言って渡してくれたものは、10本セットのロケット花火でした。

       


やるせない、熊倒せない、何よりノザキさんの自宅から小屋まで車で20分はかかるじゃない、とは言えませんでした、涙が邪魔して。


これを聞いて、さすがのオレも「助けが呼べるって素晴らしいことなんだ」と思いました。我々は、自分たちのおかれた恵まれた環境に対して鈍感になりすぎているのかもしれません。







つづき



追記:
…メールでいただいたのですが、例のカエル汁は大麻だかLSDだかに近い成分になるそうです。
敵を撃退する為の分泌液で、それを染み込ませた紙を乾かして煙草ぽく吸うと、気持ち良くなるそうですが、中毒症状の恐れもあるそうですよ。
情報提供ありがとうございました!