夏休み特別企画
【アイスバーに行ってきた】後編



入場と同時に着せられる銀色ポンチョ。
こいつがなければ、恐らくドラクエの毒沼並みにダメージが蓄積するワンダ−ランドを乗り切ることはできません。
手袋が脇にくっついた銀色のポンチョを店員さんにざっくりと着させてもらうといよいよ入場です。

ちなみに入場料+1ドリンク+銀色ポンチョで3,500Gかかります。


扉は熱気の進入を防ぐよう二重扉になっていて、前の扉が閉まりきるまでは絶対に次の扉を開けないように、との徹底のしよう。そうだよね、そうしないと氷の妖精さんが逃げちゃうもんね!テヘヘッ!などとつまらぬ感想を述べながら扉をそっと押し開けました。

ビュオゥ!!とんでもない冷気がポンチョからはみ出た素肌を突き刺します。さっき感じたクーラーの冷気なんて比較にならないくらいの冷たさです。とても「氷の妖精さん」とか形容するレベルのものではありません。

楽に白クマとかペンギンとか飼育できること受けあいです。


        


「さ、寒ぃ!!」


アホほど単純な感想しか述べられないくらいに寒いのだから仕方ありません。この状況で「たまにテレビに出てくるデンジャラスのノッチがやる『ノッチで〜す!』くらい、寒い!」とか巧いんだかむしろそっちの方が寒いんだかわからないようなことを言うような余裕はまったく持ち合わせておりません。あっても言わないけどな。


急いでフードを引き被ると店内の様子を一望して、冷気が口に飛び込むのも気にかからないほどに口をポカーンと開けて絶句してしまいました。



見てください。この氷の芸術を!
これはバーカウンター部分です。こちらにバーテンさんが一人常駐しています。
バーカウンターはもちろんのこと、壁からグラスからすべて氷です。いやそれくらいの前情報は入れてましたけど、改めて目の当たりにするということはこうも違うのかと実感させられました。



そして、これが氷のグラスです。

   

氷をくり抜いたような形のこのグラス。見た目は間違いなく良いんですが、これがまた持ちづらい。当然、氷ですからね。試しに素手で持ってみましたけどかなり自殺行為。それとこのグラスの氷部分が思った以上に分厚いので、飲むのに一苦労でしたね。


   

いやいや、食べるもんじゃないからな、サトルくん。
止めた時にはもう半分くらいになってました。


そして、思ったほどには広くない店内にこれから宇宙人の解剖でもやるんですかってなくらいに怪しい銀色の恰好した連中がわんさかいます。

     

それぞれが酒を片手に「寒いね」「思ったより寒いね」「デンジャラスのノッチが…」とご歓談をお楽しみになっていました。

室内にはバーカウンターの他に立ち飲み用の標注やカウンターの類がありましたが、中でも奥にあった氷の椅子とテーブルは必見でしょう。
他の男女グループが独占しておりましたが、流星課長(著:しりあがり寿)ばりに割り込み、しっかり座り心地を堪能してまいりました。

感想:超すべる



これがその椅子です。ちなみに奥にいる女性ははだけたスカート姿が寒々しかったです。「寒くないッスか?」と聞いたらえ、あ、うん、とやんわりシカトされました。ストッキング伝線しろ!
後はつけ加えるなら痔持ちの人にはきついかもしれませんね。



それと素晴らしいの一言につきますのは下の写真にあります、氷のレリーフです。



他にも2枚ほどありましたが、浮き彫りにされた氷が、光によって美しく浮かび上がっています。ファ…ファナスティック!
壁の氷ですら美しく思えるってのに…と壁にへばりついて感動してたのですが、他の人達は写真だけ撮ったらおざなりな扱いしてました。もったいないなぁ。
ここの氷はうろ覚えですが、透明度が半端なく高くて有名な北欧のトルネ川から切り出してきたものだそうです。


そんなこんなで、テンション高めにそこいらを物色しては歓喜の声をあげておりましたら、ちょいとした異変に気づいてしまいました。
ここまでワーワーはしゃぎながら動いていたため、はっきり言ってそれほど寒いとは感じていなかったのですが、やたらめったら右手が冷たい、つかもげそう。



はい、酒がボロボロこぼれてた。
やはり氷製のグラスであるわけですから場合によっては亀裂が入ることもあるでしょう。そうまさにこれこそがアイスバーの醍醐味ですよ!とのたまう余裕があるわけもなく、ひたすら中まで染みてしまった手袋を外してました。


酒がなくなりゃまた頼むしかありませんわな。
カウンターに行って新しい酒を作ってもらうのですが、結構高いんですよね。酒だけなら1,200円。グラスまで新調するのであれば2,000円。オレのはグラスにヒビが入っていたため、グラスまで新調したわりには1,200円で済みました。


せっかくだからバーテンさんに色々とお話を伺ってみました。


なんぼ店員さんとはいえサスカッチ(雪男)ではないのだから、ずっといるわけじゃないですよね?

「はい、1時間交代ですね。それ以上はさすがに…。ただ、時期になると一日中いますけどね。」

なんすか、その時期って?寝苦しい夜とかにですか?

「いえいえ、時期ってのは氷の交換時期のことです。3ヶ月に一回、店内のレイアウト変更にあわせて氷の一部を交換するんですよ。で、半年に一回は総取っ替えします。」

はぁー。やっぱり交換してるんですねぇ。溶けてしまうようなこととかあるんですかね、やっぱり。愛の炎とかで。


「室温は常にマイナス5度を維持してますからねぇ、自然には溶けないのですけど、お客さんあっての商売ですからどうしても溶けてしまうケースがあるんですよ。人の体温ですとか、グラスで傷をつけてしまわれる場合ですとか。」

ははぁ、なるほど。
そういや、オレも壁に穴を見つけましたけど、あれはきっと脱獄囚がスプーンとかで少しづつ壁を削っていくかの如く、体温で溶かしたものなのですね!どっかのアホが。



にしてもマイナス5度ってのはすごいっすねぇ。半端ないッスねぇ。ちなみに高崎のギャルは最近「半端ない」て言葉を「パねぇ」と発音するらしいです。

「…あぁそうですか…、確かに慣れないとこの室温には耐えられないですね。30分居られればかなり耐えられた部類に入りますでしょうかねぇ。」

確かに改めて周りを見渡してみると、さっきまでわんさかいた人影はすでになく、残り数名がたむろするのみとなっていました。後で聞いた話ですが、テレビで取材に来た和田アキコさんは我慢できずに5分で帰られたそうです。

いや確かにこんだけ寒いとさっきから強い酒飲んでるにもかかわらず全然酔えません。そのせいかさっき見たお姉さんは「この店で一番強い酒を出してちょうだい!」と言っているのを目の当たりにすることができました。巷ではそう見られるものではありませんね。

お仕事中、つまんないこと聞いてすみませんでした。とお礼を言ってから後にしました。ちなみに冬も営業しているそうです。オレはてっきり夏季限定営業だと思ってましたよ。





皆のところに戻ると、さきほど仕入れた情報を自慢げに聞かせました。
すると皆の関心は「普通の人は10〜15分くらいで帰っちゃう」という点に集まりました。やはり皆同様に思うことは「もったいない」ということです。群馬くんだりから来てその程度で退場してしまってはベンツに申し訳が立ちません。

ちったぁ粘ってやろうじゃないの、ということで規定時間の45分を目指して3人のチャレンジが始まりました。










無理!寒い! 男塾名物「油風呂」並みに辛くなってきた!
さっきからサイトウさんもサトルくんも歯がガチガチ言って言動がおかしくなってきました。そういうオレもウロウロする余裕がなくなり一所から動けなくなっていました。

うおぉ、恐るべしアイスバー。
これからは男塾名物行事に入れると良いと思います。




そして45分の荒行を終えると3人とも我先を争って外に飛び出ていきました。

外気温はおおよそ30度として、その差は35度。これだけの差がいったい我々に何を及ぼすかおわかりになられますか?

答えは「結露」です。
パねぇ結露が我々に襲いかかるのです。もうビッショビッショ。




写真なんて撮ろうもんなら、カメラのレンズが曇って何も写りやしません。これは一生懸命拭ってようやく取れたものです。サトルくんの持っていた皮のカバンなんて中までビッショでした。




にしても、自分のビチョビチョ具合がなんとも気持ち悪い。
さっきまでの名残で芯から冷えた体から汗なんて出るはずもありません。大気中の水分がオレたちの体を媒体に水分へと変化するということを身をもって知りました。









一度この気温差を体験すると「オレ、こんな国に住みたくねぇ!」と思えること受けあいの不快さを味わうことができますよ。


いや、でも総じてこのアイスバーに来て本当に良かったと思えますよ。すげぇいろんなことで笑えましたしね。子どもみたいに見たことのないものに飛びつくのってすごく楽しかったです。帰りは恵比寿でラーメン食って帰りました。



(完)