『或る恋の詩』





先日、コッシーという友人がオレのもとを訊ねてた時のことです。

互いの近況を少し話すと「女性関係」についての話題へと方向がシフトしました。
そこで彼はふいにオレのホームページの話を始めたのです。


   

「ケイスケさんさー、ホームページやってんでしょ?」



うん、やってるよ。お陰様でそこそこ大きくなったよ。




  

「そこでさー、オレの彼女募集の告知してくださいよー。」


バカか?
何でわざわざお前のステディを見つけなければならないんだ?そんなことができるなら、とっくにオレがやってるよ。

ホント、彼は勉強家で頭がいいけどバカなのが玉に瑕なんです。


   

「そー言わずにお願いしますよー、もしかしたら物好きが2〜3人くらいいるかもしれないじゃないですか?」


「結構です」とか「遠慮します」とか中途半端なことを言わずに「嫌だ」と完全否定しているにもかかわらず、どうしても折れないコッシー。
あまりのしつこさに一つの提案をしてみることにしました。


「何か面白い失恋話あるか?」


仮にすっごい面白い失恋話の一つもあればネタになるし、そこから彼女募集の告知だってかけやすいというのが、表だった理由で、本当は書くのが面倒くさいので、聞いてから「なんだい、そりゃ?面白くねぇよ。」という理由から断るための口実でした。


まぁ、これで諦めてくれるだろうと思っていると、コッシーは少し上方を眺めながら何かを思い出すような仕草をしたあと、パァッと表情を明るくしました。


   

「あー・・・ありますよ!少し前の話なんですけどね・・・」



そう切り出しながら、彼は訥々と当時の現状を語り出しました。






そのころ、彼にはまだ彼女が居て、それはもう蜜月な時を過ごしていたそうです。
しかし、楽しい時間ほど流れるのは早く、時は移ろい二人に別れの季節がやってきました。


彼女に呼び出された彼の心境は複雑です。
ここ最近の彼女の動向、そしてこの表情。この空気。
これから別れ話以外に何の会話が始まるのか皆目見当がつきません。

近くに駐車した車からときおり鳴るエンジン音だけが、周りに響きます。



「・・・・・。」


彼女は彼にいくつかの言葉を告げました。
それは誰から見ても明白な別れの言葉でしたが、ある程度の予測はあったものの、男はその動揺を大いに隠せませんでした。






別れの挨拶とともにこの場を去ろうとする彼女を、ホリがモノマネする木村拓哉よろしく呼び止めようとするコッシー。
しかし彼女の歩みは止まりません。
もうコッシーは彼女を繋ぎ止める言葉を持っていませんでした。







車に乗り込もうとする彼女の後ろ姿を見つめるコッシー。


ここで彼女を止めなければ、何もかもがなくなってしまう。そう思った彼は動きだそうとする車の前に立ちはだかりました。








そのまま轢かれた。






      
     
 「・・・・と、言う話ですよ!アハハハハハ!」




「すみません、書かせてください。」

オレにはそれしか言えませんでした。







      

     「彼女募集中!!」