ワンフェスに行ってきた 第6話




会場内のコスプレ熱に当てられてか、この寒空の下でも元気いっぱいにうろついてきましたよ。

前回はかぶり物をしている人ばかりでしたが、自分をベースに人物キャラクターをコスプレしている人の方が普通に多いです。こういったタイプの方が一般的なんでしょうね。
そして、こういうコスプレってのは、ガンダムや仮面ライダーほど一般的に知られているものではないものがほとんどのため、元ネタがわからないとさっぱりなものばかりでした。



しっかりアホ毛を再現してる人とか。
         






明らかに前方不注意に陥る前髪の人とか。
       


とてもではありませんが、全部のネタを拾いきれませんし、半分もわかりません。
オレでもわかるのはゲームのキャラ(メタルギアソリッドと・ドラクエ等)とか、昔ながらのアニメのキャラとかSFチック(甲殻機動隊など)くらいです。

それでも、いくつかわかるキャラクターの人を見つけてははしゃいでいると、その都度マサシコさんから「えー!?知ってんのー!」と感嘆の声が漏れました。(感嘆5、非難3、侮蔑2の割合です)

でも、この場に来るぐらいの人ともなれば、一般常識的にわかってるんだろうなぁ。







それでは、そんなステキなコスプレイヤーを囲うステキな方々をご紹介いたしましょう。


某国の新兵器みたいなカメラを構えたファンの皆様です。


  


そんなにバッサバッサと写真を撮って一体何に使うの?ってくらい良い機材でフラッシュ炊いてます。こういう人のパソコンのハードディスク内を覗いて、この世の暗黒面みたいなものを垣間見たい。

でも、コスプレイヤーだって、自ら一生懸命飾り立てたものを嬉々として写真を撮ってくれれば悪い気はしないはずです。逆にそれが癖になって止められなくなってる人もいるかもしれません。


つまり、撮る側と撮られる側のバランスがあってこそ、コスプレというものが成立しているのだと思います。




ただ、正直言うと、撮る側の人数が多すぎた。


      
         整然と並ぶ撮る側の人達


            
       バッグを拡大図すると、そこには「秋葉原」

完全にアキバ系ってやつです。こんなところまで自己主張してどうするんだ。


しかし、写真を見てもわかるとおり、結構キレイに並ばれてますよね?オレは当初、死肉に群がるハイエナの如く、人々がコスプレイヤーを中心にフラッシュを焚くような光景を想像をしていたのですが、いやはやまったく落ち着いたものです。

お目当てのコスプレイヤーを一番良い角度で捉えたい、そういったことがあるのでしょうか、全員がしっかりと列を組み静かに順番を待っています。


何か面白いことしないかなと、しばらくキャメラマンの人々の動向を見つめてました。で、わかったんですが、みなさんすごく礼儀正しい。

待ってる時は、横からシャッターチャンスとか狙わないし。(オレは並ぶのがかったるいので、ズームで遠くから撮ってました。)
自分の番が来たら、まずコスプレイヤーに礼をし、取り終わった後にもまたしっかりと礼を言うのです。

「礼に始まり礼に終わる」

日本の武道の精神はこのワンフェスにも受け継がれていたのです。




で、その後もそんな武道家たちのやりとりの様子をコスプレイヤーそっちのけで見つめていました。

強敵(コスプレイヤー)のもとに並ぶ武道家たちは皆一様に寡黙です。もしかしたらこの人数からして撮る枚数制限がされるかもしれない、そうした時に少ない枚数に自分の持つすべての力をファインダーへとシャッターボタンへと注ぎ込むため、気を高めているのでしょう。時々、「カー!」とか喉鳴らしているのはタンが絡んだのではなくて、空手の息吹とかやってるのかもしれない。





そして、オレの視線はあるカメラマンの元に注がれました。

そのカメラマンは明らかに季節感を無視したエロティックな格好をしたコスプレイヤーの前に立つと深々と一礼しました。

そのお辞儀の深さ、その佇まい、さぞ名のある武道家かもしれないと、思わせるには十分でした。



そして、おもむろに腰をゆっくりと落とし、まるで「バルパンサー!」とでも叫び出すんじゃないかってくらいのローアングルでのポージングを撮りました。






           「バルパンサー!」



その重厚なスタイルにオレは息を飲みました。(そしてバカ笑いしました)


オレには彼がカメラを構えた瞬間、バックに爆発効果が演出されたかのように見えました。(またバカ笑いしました)

ホント、何かの戦隊ヒーローかと思った。



   

            「バルパンサー!」


ただ者ではないと思っていましたが、まさかこれほどとは!あなたのことを師匠と呼ばせてください!



しかし、その限界ギリギリとも言えるローアングルはもうパンチら撮るためにしか存在しえないのではないかという疑念が頭を過ぎりました。

いやいやまさか、そんなはずありません。武道家とは生涯修行中の身。求めるものに終焉なんてありません。その修行中に女にうつつを抜かす暇なんてあろうはずがないのです。ましてや師匠に限ってパンチラなんて俗物的なものに心動かされるはずもありません。
きっと今回だって、師匠はワンフェスに精神修養か何かに来られているのです。




そして、十分に間を置いた後、師匠の口からある希望が告げられました。








   


師匠、完全にパンチラ目的じゃないですか。


それにそのアングルだと股ぐらしか写らねぇだろ?

こんな無謀なこと言って大丈夫なんですか?コスプレエロティック姉さんにリアルににハイキック見舞われるのがオチではないですか。


しかし、現実は違いました。

「はい、どうぞ」と言わんばかりにハイキックポーズをかますコスプレイヤーさん。

すかさずバッサバッサとシャッターを切る師匠。すごく幸せそう。

いいんだ!?そういうのはアリなんだ!?パンチラとかお願いしてもOKなんだ!?



オレにもこの場における法則性みたいなものが少し見えてきました。

つまり、コスプレイヤーはそのキャラクターになりきらなければいけないという脅迫的観念と、みんなが似たような格好をしているこの非日常的な空間が相まって、いつもよりちょっぴり大胆になっているのだと思うのです。


簡単に言うと一時的に脳が麻痺してるんでしょうけど、この手をカメラマン達が逃すはずがありません。


どうやら言ったもん勝ちみたいなものがあるのかもしれない。

例を挙げれば…

「ハイキック(パンチラ)ください」とか、

「M字開脚ください」とか

「もっと媚びるような目線をください」とか

「ずっと前から好きでした、結婚してください」とか

「いつも、いつでもオレを見つめてください」とか


そういうのも言うだけ言ってみてもいいのかもしれない。言えませんけど。








長くなりましたが、総論すると世の中には2種類の人間しかいなということです。


それはコスプレする人間と、コスプレしない人間です。









ちなみにオレは前者です。





誰も写真撮ってくれなかった。










次回、最終話へつづく