エロス砂漠(2005.02.08)




先日の日記で書きましたが、古本屋で大セールをやっていたんです。

その店は正確には古本屋ではなく、半分はエロビデオ・エロDVD・その他グッズなどを豊富に揃えるエロの総合商社とも言える店舗でした。

そして、店の売り上げのほとんどはエロにより賄われているのは素人目にも一目瞭然で、オレが古本セレクトしている間も客の出入りはありましたが、その全員が奥のエロスワールドへと旅立っていきます。
「1冊50円」という魅力に気づきもしないのか、君たちは!いい気なものだな!



しかし、古本に興味がないのは店側としても同様でした。

店内に「1冊50円!」と書いてある張り紙と同じくらい目立つように「本の買い入れやめました」と書いてあるのです。
つまり、これからはエロで一本立ちしようと、この本のスペースをピンク一色で染め上げてやろうと、そういうことなんですよね。まぁそれも仕方のないことかもしれない。


そんな可哀想な古本達をオレが大量にセレクトした結果、袋がその重さに耐えきれず、床にブチ撒けてしまったところまでは日記に書きました。




で、本題はここからです。

店員さんから新しい袋をもらい、詰め直している時のことでした。




陳列棚を挟んだところから妙な話し声が聞こえます。



そう、陳列棚一つ挟んだ向こうに広がるのはエロスという名の果てしない荒野です。
こんなところから少し語気を荒げたような声が聞こえてくるってのも不思議な話で、普通の人なら静かに熟考に熟考を重ねているものだと思っていました。

いや、例外はあると思いますが、この声はどう聞いても友人同士で「おー!すげぇぞ、コレ!おまえ買えよ!」とか「やだよ!買わねぇよ!ソレ、どうみても人間の食べるもんじゃないもの食ってるじゃん!」とか言い合ってるような話し声ではありません。


どんなキ●ガイが騒いでるんだろ?その異変の正体を知るために、向こう側への入り口へと足を向けることを決意しました。


「18歳未満出入り禁止」と書かれた暖簾をくぐると、少し目眩を覚えました。そう、そこに広がるのは永遠に続くかのようなエロスの荒野。もしくはエロス砂漠。

入り口からもう容赦のない陳列模様。
「ここは女、子供が来るところじゃねぇんだ。わかったんなら火傷する前にとっとと帰るこったな。」と言わんばかりの陳列模様。すっごい眩しい。


もう、ホントこんなにあるとどれを買っていこうか悩んでしまいます、って、おい!違うだろ?買い物に来たんじゃねぇだろ。危うく当初の目的を見失いエロス砂漠に迷い込むところでした。気を取り直して、声の主を捜しに向かいます。


すでにエロス砂漠には何人かの住人がおり、ウロウロしながら様子を窺います。



お前か!?
そこで二つのタイトルを交互に見ているお前か!?何を比較検討してるんだ!さぁ言ってみろ!


それともお前か!?
出演者が明かに40代を越えてるコーナー付近から微動だにしないお前か!?何がお前をそうさせたんだか言ってみろ!


いや、意表をついてお前か!?
出演者に女性が一人もいないコーナーに佇むお前か!?幼少期にどんなトラウマがあるんだか言ってみろ!



      r;ァ'N;:::::::::::::,ィ/      >::::::::::ヽ
.      〃  ヽル1'´        ∠:::::::::::::::::i
       i′  ___, - ,. = -一   ̄l:::::::::::::::l
.      ! , -==、´r'          l::::::/,ニ.ヽ
      l        _,, -‐''二ゝ  l::::l f゙ヽ |、
        レー-- 、ヽヾニ-ァ,ニ;=、_   !:::l ) } ト
       ヾ¨'7"ry、`   ー゙='ニ,,,`    }::ヽ(ノ  
:ーゝヽ、     !´ " ̄ 'l,;;;;,,,.、       ,i:::::::ミ
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「黙ってないで、そのワケを言ってみろ、な?



まぁ、仮にそのあたりの説明をされても困るわけですけども。




そうこうするうちにまた声が聞こえました。

その声の先に向かうと、主は最深部にて店員さんと一緒にいるのをようやく発見。

男は年の頃ならオレよりちょっと上、秋葉原が良く似合う風体。そして、男はDVD片手に熱く問いただしていました。





「・・・で、これは縛りもあるわけですね。」

「はいはい、コスプレもある・・・と。」

「なるほど!それ容量が120分ということですか!」


言葉遣いこそ丁寧ですが、その男がエロDVDに寄せる思いは気持ち悪いほどにその言葉から伝わってきます。
そんだけ聞いたらもう見る必要ないんじゃないのか?というくらいに質問攻めしてくる男に店員もほとほと手を焼いてる様子が見て伺えました。


男は今にも視聴させろとか言い兼ねない雰囲気です。気に入らなかったら返品させろとか言い出すんではなかろうか?とにかく男の行動が気になってしかたありません。
しばらく近くのコーナーを見てる振りして盗み聞きしていました。


「つまり、●●●●とかもあって、さらには◎◎◎もあるわけですね、はいはい。」

「はー、××もアリですかー、はー」


「え!まさか▲▲▲▲▲▲▲▲とかはないですよね?」


男の質問はどんどん遠慮がなくなっていき、終いにはここに書けないようなことを言い出す始末です。
すごいな、お前。最高に気持ち悪いな、お前。



しかし、彼のエロに対する真摯とも言える態度は、ここまで来ると「気持ち悪い」の一言で済ませれるものではなくなってきました。


ここで少し考えました。


当然、これらの『作品』を作るということは並大抵のことではないはずです。
出演する女優と男優がいるだけでは作品にはなりません。
それを演出する人がいて、それを記録として収める人がいて、それらを取りまとめる人がいて、そういった人々みんなが出演者をより綺麗により美しく見せるための努力を惜しまず作り上げたものが、今こうして陳列されているのです。

人が美しいと感じるものは人それぞれです。

そういった点ではこれらを作り上げた人々も、エロスという退廃的なジャンルを選択した美の創造者であり、我々はその創造物の恩恵に敬意を表し享受すべきではないかと思うわけです。

襟を正してエロビデオを見ることなんて制作者側も望むところではないでしょうけども、しかし、そういった意思を汲みあげ、敬意を表することができる視聴者が世の中に何人いるでしょうか?





いや、ここにいた!





恐らく彼はそういったことに対して恐ろしく真面目で、エロと真っ向から向き合っている人なんだろうなぁと少しだけ納得しました。


興味本位で盗み聞きしてゴメン。オレ、もう帰るよ。
これからのアダルト業界はキミのような人が支えていくんだろうね。

そう心の中で呟き、アダルトコーナーを後にしようとしました。





と、その時。
背後から例の男の声が聞こえました。














「・・・で、価格は500円なわけですね!」







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前言撤回。
やっぱり最高潮に気持ち悪かった。