「奇妙な同棲生活」 第2話






オレの部屋に家出中の女子高生が転がりこんできた。
いや正確には高校にはもう行ってないようだし、女子高生でも何でもない女の子になるのだろうけども。



しかし、オレ自身この招かれざる珍客を快くは思っていませんでした。

今まで、学生寮の狭い部屋からようやく6畳部屋とはいえ、自分のスペースを持てたことは本当に嬉しいことでしたし、そこに何の因果か、友人がナンパした女を2週間泊めることになるとは夢にも思いませんし、その期間の長さにまったくリアリティを感じられないのです。
ホント、2週間てなんだ?2週間あればそれはもう、ものっそいこと出来んぞ!?もやしなら2毛作できんぞ!?


そんなことが頭の中をグルグルと渦巻き、眠りにつく瞬間までこの状況がイマイチ信じられませんでした。

このシチュエーションが羨ましいとか言う人もいるかもしれませんが、この状況を楽しめるほどオレは人間出来ていません。
何より友人に騙されたかもしれない、ということが今のムカツキをさらに倍増していました。

いや、これがドッキリとかだったらいいのになぁ。そしたら「うわぁ、そうだったのー」とか言いながら、彼女を抱きしめてやるのに。などともんもんと考えながら朝を迎えました。







そして次の日、問題の友人と会うことにしました。






「おい、オレの言いたいことはわかるだろうな」


目は顔以上にものを言う、そんな言葉もありますが、それ以上にオレの闘気(オーラ)がオレの気持ちを物語っています。


「いやいや!ホントにゴメン!マジすまんかった!」


平身低頭に謝る友人ですが、これからあの女の子を引き取るようなつもりはないようです。

どうすんだよ、これから?と強く迫るオレに友人はなだめるように言いました。



「いいじゃん!チャンスじゃん!?やっちゃえばいいじゃない!」






・・・・・・。






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     ソコデ モウ ブチギレデスヨ。





いま、オレが問題にしているのはそういうことか?
泊めてやったから体を許せ、とかそんな話をいつした?


オレ自身もかなり熱が入ってしまいましたし、これ以上話していても何の解決になりそうにありません。友人に愛想をつかしたオレは家路へと歩を進めながら、これからのことを考えました。


ことの張本人はまったく責任を果たそうという気概はないし。このままならオレの家に顔を出すことすらしないだろう。
とすれば、あの子本人との話し合いになるなぁ。
別に警察に通報する気もないし、すぐに出ていけというのもこの寒空の中ではちょっと酷な話だろう。それに、家には絶対帰りたくないとか言ってたしなぁ。


まぁ、いろいろ考えた結果「とりあえず居てもいいけど、早めに身の振り方を考えろ」と、そういうことにして彼女に伝えました。
それをちゃんと理解したのかしていないのか、彼女はあくび混じりにコーヒーをすすりながら「わかった」と言いました。絶対に理解してねぇよ。聞き流されてるよ。

力一杯不安が残りましたが、オレにも陸上と学校があります。この子にかかりきりというわけにはいきません。


現在、オレの部屋には金目のものもないし、盗まれて困るのは財布を除外すればビデオデッキくらいのものですから鍵は開けっぱなしにして出かけました。好きに出入りしてな、という放任主義です。
いや、本当にビデオデッキ盗まれたら大打撃ですけどね。当時からテレビを見ないで映画を見るような生活を送ってましたから。








そうして数日が過ぎました。



しかし、モノの見事にこの女は自ら動くということをしない女でした。



当時、オレの朝はとても早く5時半には朝練へと出かけ8時近くにふらふらになって帰ってくるのが日課となっていました。


基本的にオレは自炊派で外食も友人達がいないとしないタイプでしたが、この状態で朝飯を作るのが果てしなく億劫なんです。

もうホント朝マックとかでいいや、オレ、ホットケーキとか好きだしさ、バターとシロップでカロリー摂取するからいいよ、あとバイトのお姉さんの笑顔が何よりの栄養素だよ、それだけで光合成できそうだよ、だから結婚しようよ、僕と、ってな具合に自暴自棄になりがちなんですね。後半は完全に病気ですが。


しかし、体を作るためには3食しっかり食べる必要があります。朝から菓子パンとかでは体が持ちませんのよ、午後にも練習がありますから。



でも、でもね。彼女はお金もあんまりないみたいだし、外にあまり出ないんですね。そんでもってオレの台所には食材が山盛りあるんですよ。頻繁に買い物してたし。調味料も独身男性が持ってる数倍は持ってました。



そういった条件が揃えばの話ですが・・・



オレが疲労困憊で帰ってくるとアパートからすっごいイイ匂いがしてきてさ、ドア開けたら炊きたてのご飯の香りが出迎えてくれてさ、


「あっ!おかえりー!ゴメンね、勝手にお台所借りてるー」


とか言われてさ。テーブルの上に質素ながらも栄養に気配りされた朝食が並んでたりさ、そういうのがあったらいいなぁ、とか思ってたわけですよ。そういうのに憧れたりするわけですよ。










でも、実際はこんなもんですよ。








「おう、飯だぞ。起きろ。」




オレはお前のママンか。





つづく




多分、全4話にくらいになりそうです。