アイドルコンサートに行ってきた 第4回



こういうコンサートでは、いくつかのお約束ごとが存在します。
それは、決まったポイントで合いの手を入れたり、ある曲のサビ部分を替え歌してみたりといったものです。コンサートに何度か訪れている人の中では条件反射に近い形でそれらが実践されます。そうなると困るのはオレみたいな初心者です。どこで何をすればいいのかさっぱりわからない。まぁそれでもしばらく聞いてると、なんとなくポイントが解りかけてきました。いや、わかってもやらないんだけど。



そんな折、完全に流れを無視した絶叫がすぐ右隣から聞こえてきます。誰も何にも言ってないところで、愛を叫び続ける男。





何かね、15分に1回くらい誰も何も言ってないのにこの「アヤスキィ!!」ってのを繰り出してくるんですよ、この人。もうすっごい鳥肌ができた。


で、この人がこれだけで収まらないからすごい。
どのようにすごいかと言うと、「喋る」のね。一人で来てるのにすっごい喋るのね。話し相手はもちろん松浦亜弥。
まさに「周りが見えてない」ってのは彼のためにあるようなもので、彼の脳内フィルタにより、彼と松浦亜弥しかこの世に存在しないように見えているに違いない。



松浦亜弥がトークを始めた際も会話を遮る遮る。

彼女がコンビニに行った話をすれば、

「どこのコンビニー!?」と会話を遮り、

彼女が話を続ければ、

「わかるわかるぅー!!」と声援と同じ声量で相づちを打ち、

彼女が話を続ければ、

「かわいいぃぃーーー!!」とのたうちまわり、

彼女がお客さんに子供連れ親子を見つければ、

「オッサンもおるでよぉー!!」と聞いてもいないのに自己アピール。で、終いにゃまたまた「アヤスキ」3連発ですよ。本当、撃ち殺したい。


さらに堪らないのは、コイツがいちいち大声出すため、周りの人が「何事?」ってこちらの方に目線を向けることでした。すぐ隣にいるオレまでお友達と思われては敵いません。声を挙げられるたびにできるだけ逆側のニッシーの方に身を寄せてました。勘弁してつかぁさい。


その他、一人で送るエールもかなりのもんでして。
「エル・オー・ブイ・イー!LOVE LOVE あやや!」と魁!男塾の松尾と田沢よろしく声の限り張り上げます。



「田沢であります」  「松尾であります」



本当にやりたい放題ですよ。例えるなら「カレー食ってる時にウンコの話する人」と一緒で、もう自分良ければすべてオールOK。
でも、そんな彼もちょっとだけ良いことをしてくれました。
このコンサートはかなりの人の入りで二階席まで人がいっぱいだったのですが、何故かオレの右隣の席は2席も空いていました。




それはどういう状態だったかというと




こんなかんじ。
これは予測ですが、彼は自分のスペース用に3席分のチケットを取ったのかもしれません。周りに迷惑をかけないようにしてるのかもしれない。その心遣いや良し。
ただ、3席分のスペースをフルに活用してダンスしてたから一緒ですけど。
なんでこうオレの周りには変な人が集中してるのでしょうか。





こうしてステージ上に集中しきれないまま、曲目は進みアンコールも終わってしまいました。しかし、袖にちょっと後ろ姿を残しつつ松浦亜弥は何かを話しています。なんと異例のアンコール終了後のさらにもう一曲が本人の希望により叶えられたのです。
曲目はこの会場となっている足利市に実在する「渡瀬橋」。以前、森高千里の曲だったものをカバーした曲でした。コンサートの中盤で一度歌ったもの、今日来てくれた人のため、足利の人に認めてもらうため再度歌ってくれました。
1曲目に比べても格段に感情の込められたその歌声に、会場は大変な盛り上がりをみせました。この瞬間、オレは松仙流ダンスマンとも独り言の彼とも一つになれたのかもしれません。


会場から出てくる観客もまだ興奮醒めやらぬ感じです。中には会場内で友達になった人もいたのでしょうか、男同士で「おう!絶対電話すっから!」と白目を剥いて語りあってました。うん、ちょっと怖かった。




さてオレらも帰り支度し、2階席にいるKさんも誘ってこれからメシでも食いに行こうかということになりました。
出口で少し待っていたのですが、なかなか出てこないKさん。

しかたないので携帯電話に連絡してみました。
しかし、電話先から聞こえてくるのは
「あやーや最高!!あやーや最高!・・・・」のリフレインのみ。
何度、話しかけてもそれしか聞こえてこない。



しかたないので、Kさんは切ることに。

1分くらいこのコール聞かされました。その後、Kさんは「あやーや最高」軍団と語らいの夕餉へと出向いたそうです。


いやはや何にしてもみんなが楽しめていたようで何よりでした。もちろんオレも普通の人とは違う楽しみ方かもしれませんが、十分に楽しんだのはこの長いレポートを読んでいただければ一目瞭然かと思います。




だがしかし、コンサート終了後、ニッシーは溜め息ばかりついてます。あんなに楽しみにしてたコンサートじゃなかったのかよ?と訪ねると「もちろん楽しんだ」と言います。
じゃぁ何でよ、その溜め息は?

「コンサートにファンとして来ているオレと、あややの距離を感じ過ぎて憂鬱になってんのよ」と言います。

つまり、ニッシーの言うところの「好き」ってのはファンとしてのそれではなく、一個人としての恋愛感情でいうところの「好き」に値するようなのです。だからこそ、ファンとしてこういう場に来ること自体にも矛盾を感じているため、ジレンマに悩まされているということなのです。



「あー、合法的にあややとつき合う方法ねぇかなー」
とつぶやく彼を見て、一番身近に一番ヤバイのがいたことに気づきました。













追伸:
ニッシーは現在、松浦亜弥に一歩でも近づくため、マラソンで世界一を目指しています。もし何かしらの大会で見かけた際には応援してあげてください。年明けの琵琶湖マラソンあたりに出場予定があるようです。